変われば変わるほど変わらない
“ Plus ca change, plus s’est la meme chose.”
「変われば 変わるほど 変わらない=いくらうわべが変わっても 本質は変わらない」
フランス人が好むことわざの一つです。
科学が進歩し、文明が進み、華やかな生活を享受しようとも、
太古の昔より人の心に渦巻く飽くことなき貪欲・憎悪・妄想・嫉妬…は、
世界史のあらゆる場面で、果てしない暴力や苦しみを繰り返してきました。
人間が心の奥底からそれぞれに己自身を知ろうとすることなしに、
ただ自我欲のみに自己実現を願い続ける限り、本質は何も変わらないのでしょう。
しかし一方で私たち人類は、
文明の未熟な原始の時代にあっても、美しさ・優しさ・切なさを含む哀しみ、
親切心・同情心・慈悲心…などもまた人間の本性の確かなものとして、
人類の不可欠部分として持ち続けてきました。
人間であることを許されて、今ここに存在し続けている私たちは、
愛のもとに生命を得、地上に産まれ出、根本に愛を携えているはずです。
『愛』から生み出される寛大な優しさを根底に想像される芸術作品は、
美術作品を始め、音楽、詩、ダンス、スポーツ、科学に広がり、
時空を超えて人々を感動させ勇気づけてくれます。
愛と智慧に育まれて創造物として世に表現されるモノたちは、
内面的、外面的に多くの人々に平和と癒しをもたらしてくれています。
それらを生み出す力もまた、私たち人間は同時に持ち合わせているのです。
心の中に、思考回路に、
功罪両面、諸刃の剣を持ち合わせている私たちです。
時に静かに立ち止まり、自分の心の針がどちらを向いているのかを、
じっと己に問いかけてみる習慣はとても大事なことだと考えています。
自分の心の針の向きを知っているのは自分自身だけなのですから。
自分の心の針の向きに「気づき」ましょう。
カウンセリングに於いて、心理学の世界に於いて
「気づく」ことが大事だと言われ続けている所以もそこにあります。