無意識の智慧を引き出す神話の力

時代、風土、文化、異なる環境下に於ける一定の社会の中で語り継がれる「神話」は、
その風土ならではの異種独特の表現と理解を示す。

「神話」を受け継いでいく時、時代性に限らず、
それを読み解く受け手の感性にも委ねられるが、
「神話」に命を吹き込んで表現するにあたっては、
芸術・芸術家の力は大きいのではないかと考えている。

神話には、
その時々の風土や民族性、生活レベルに基づいた匂いが彩られており、
その場に根付いた語り継がれの知恵がある。

現代を生きる私たちは、
先人からの神話に
どれ程の敬意をもって受け止めているのだろう。

煌びやかで人間中心に進歩させた近代文明社会の中で、
人々がそれぞれ、本質的に抱えている虚しさや寂しさを埋める術を
多くの人は持ち合わせていない。

そうした心の隙間に忍び込むカルト的集団は、世界中に広がりを見せている。

カウンセリングの世界に触れたからこそ見てしまったものは数限りない。
光と影の両面でこそ成り立つこの世の掟の中に在って、
仕事柄だろうが、
陰のバランスが広がっている様子を見る機会に多く出くわす。

拠り所を求めて、心の依存先を見つけ出す行為は、
何時の時も誰もが行う事であり、決して咎められる行為ではない。
苦悩と虚しさの時を生き伸びるための選択肢の一つとしては、
十分あり得ることだ。

私はこれまで、2世3世の宗教信者さんだけでなく、
自らが入信した1世の方々にも多く触れて来た。
脱会支援のサポート活動は、30年以上になる。
脱会を望む人のカウンセリングは、本当に数限りなく行った。
成功したもののあれば、そうでないものも多く、
それは、今注目の旧統一教会だけに留まらず、
日本に蔓延るあまたの新興宗教に対してもである。

信仰は自由だからこそ信仰しない自由も認められなければならない。

私たちは、人間としての生を許され、
人間としての命を授かった自分自身の本来の力を、
もっと信じたいものだ。
「力」「エネルギー」は、既に常に自らの身体の中に在る。

神話はそのことを語り伝えてくれている。

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