カウンセリングと心理学
人間行動の多くは心的エネルギーによるとの見方を基盤に置くカウンセリングに於いては、
当然ながら「心理学」を抜きにしては、分析・統合・全体性を含めてクライアントとの
関係性は軟弱化し、カウンセリングの効果を良質なものには導きにくいと考えている。
従って、カウンセラーは種々の心理学、各諸理論を学習した後に現場に臨むこととなるのだが…。
それでは、「心」とは何か?
「心理学」は如何にして発祥し、変遷、進化して来たのか?
「哲学」という学問を背景に誕生した「心理学」が、あくまでも机上論理の『学』を担う部分に役するとするならば、「カウンセリング」は、紛れもなく『行』を担う部分に位置し、それは人生の時々刻々に生々しく息づき、その人の生き方、在りよう、あらゆるものへの関係性へと、多岐随所にわたり表現され続けるものの中に連続的に生じるものであろうと考える。
「カウンセリング」は、生きることそのものに直結している。
それは決して、お手軽で短絡的な単なるお悩み相談とは明らかに一線を画すものである。
紀元前5~6世紀頃、釈迦牟尼の説いた様々な教えの中でも、四諦法門の真理を「理」で説いた後、「八正道」としての「行」を示している。
「理」を学ばずして闇雲に、もがくばかりな「体験(行)」は、苦悩の時間が長引く。
「行」無き机上の空論では、尊い感動も感激も味わえない。何より実感が伴わない。
政府官僚たちの現場を見ようとず、理想ありきの数字作成に意味なく明け暮れるデータ改ざん数値は、幾ら弁解を重ねても日々の生活体験から実感し味わいつくしている大多数の国民には全く響かない。
『カウンセリング』は、「心理学」に裏付けられながら分析的に進められては行くが、それは、さらに統合的な視点から目の前のクライアントに関わる行為であり、「心理学」を超えていくものである。